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紫式部墓所

2019.10.09

北区,,京都の出来事,季節・月日,地域,10月

北区紫野西御所田町、島津製作所の工場敷地内に紫式部のお墓があります。
(お墓の場所は諸説あります)

墓所のあるところは一般に開放されているので、気軽に入る事が出来ます。

紫式部といえば「源氏物語」の作者で、平安時代中期の歌人として有名ですが、藤原道長の娘で一条天皇の皇后である藤原彰子の教育係として宮中に仕えていて、この時代に源氏物語が執筆されました。

お墓のあるエリアは古くから蓮台野(れんだいの)と呼ばれ、当時から墓所として存在していたそうです。

紫式部のお墓の隣には、小野妹子の子孫で貴族である小野篁(おののたかむら)という平安時代初期の歌人のお墓が隣接されているのですが、時代の異なる二人のお墓が並んでいるのが不思議ですよね。

調べてみたところ、こんな訳がありました。

小野篁は役人として働く傍ら、夜になると冥界で閻魔大王の補佐をしていると噂をされていた人物で、あの世とこの世を渡り歩いていたと言われていました。

紫式部の記した源氏物語は、帝や貴族たちの陰謀うずまく愛憎劇を描いたものであり、貴族社会の風紀を乱したことで筆者の死後は地獄行き、と言われていました。

賛否両論あった源氏物語には熱烈なファンもいたわけで、地獄に落ちた紫式部を
小野篁に救ってもらおう!という源氏物語愛好家たちによって、すでに建てられていた紫式部のお墓が小野篁の隣に移されたそうです。

すごい熱意ですね!


墓石には「紫式部」というシソ科の樹木が植えられていて、季節によって花や実がなっているのが見られます。
10月上旬に撮影に行きましたが、明るい紫色が鮮やかな、小さな可愛らしい実がなっていました。

お墓のまわりには清涼な空気が漂っていて、平安時代の色々な背景に想いを馳せてみるのに最適な雰囲気です。

紫式部墓所